トランジェント発生器 バースト波形の検証

概要
EFT (Electrical fast transients、電気的ファースト・トランジェント)またはバースト試験は回路を開閉した際に起こる自然現象の模擬を試みるものである。EFT試験では、複数の繰り返されるパルスで構成されるバースト波形が電気電子機器の電源及び制御/信号ポートへ結合される。試験におけるバーストは高い電圧、短い立ち上がり時間、高い繰り返し周波数、低いエネルギーレベルの典型的なトランジェントを模擬する。図1に230 Vのリレーがオープンした際の典型的なEFTバーストを示す。

当試験は、スイッチングトランジェント(誘導性負荷の遮断や、リレーの接点バウンス等)より発生するもの等様々なトランジェント妨害を被った際の電気電子機器のイミュニティを証明することを意図としている。




弊社AMETEK CTSのcompact NXシリーズやNSG 3000Aシリーズ等の典型的なイミュニティ試験システムにおいて、妨害波形は内部もしくは外部カップリングデカップリングネットワーク(CDN)を介して印可することが可能である。当技術資料では、IEC61000-4-4規格第3版に記述される内部CDNを搭載するトランジェント発生器を使用した卓上単相機器へのバースト波形の検証に焦点を当てる。


バースト試験を実施するためには、波形の高電圧・高周波数の特性のため、適切な接地が重要となる。不適切な接地はトランジェント発生器またはDUTを損傷させる可能性があるのみでなく、DUTへの不正確なバースト特性を示す恐れがある。以下は一般的で適切な試験セットアップの図、及び卓上機器の写真である。



図 2



IEC 61000-4-4は4つの試験レベル、並びに特別な試験に要求される可能性がある任意の試験レベルを定義する。

表1 - 試験レベル
IEC 61000-4-4が定める4つの試験レベル
繰り返し周波数は5kHzが伝統的であるが、100kHzの方が現実に近い。製品委員会は、どの周波数が特定の製品または製品タイプに関連するかを決定すべきである。製品によっては、電源ポートと信号ポートの明確な区別がない場合がある。

Level 1: 十分に保護された環境(例:コンピュータルーム内の機器)
Level 2: 保護された環境(例:軽工業環境等で使用される機器)
Level 3: 典型的な産業的な環境(例:重工業環境等で使用される機器)
Level 4: 厳しい産業的な環境(例:屋外の産業的工程区域や高電圧変電所内の機器)

上記の表1より試験レベルが決定したら、試験を開始する前に検証を行う必要がある。ここでは、50 Ω と1000 Ωの負荷によるトランジェント発生器の50 Ωのバースト出力の検証、電源線の試験に使用されるコンパクトイミュニティ試験システムの内部CDN、及び容量性カップリングクランプについて言及する。表2は各試験レベルに要求されるバーストの特性を示す。

上記の表1より試験レベルが決定したら、試験を開始する前に検証を行う必要がある。ここでは、50 Ω と1000 Ωの負荷によるトランジェント発生器の50 Ωのバースト出力の検証、電源線の試験に使用されるコンパクトイミュニティ試験システムの内部CDN、及び容量性カップリングクランプについて言及する。表2は各試験レベルに要求されるバーストの特性を示す。

表2– 出力電圧のピーク値と繰り返し周波数

出力電圧のピーク値と繰り返し周波数


下記に記述される3つのそれぞれのケースにおいて、パルスは下記の周波数の許容値、バースト期間、バースト周期、立ち上がり時間とピーク電圧に関する要求を満たす必要がある。

 図 4


 図 5
 図 6

表3 - 試験レベル

 波形特性 5kHz  100kHz
 周波数の許容値             ± 20 %  ± 20 %
バースト期間  15 ± 3 ms.         0.75 ± 0.15 ms.
バースト周期 300 ± 60 ms.            300 ± 60 ms.



表3はバーストのパケット(単発のパルスの塊)の特性を要約したものであり、図4と図5は典型的なバーストのパケットを、時間を横軸に、電圧を縦軸にとりプロットしたものである。図6はPVF 50 (50 Ω)の抵抗をオシロスコープのチャンネルと接続した際の5 kHzにおけるバーストのパケットのオシロスコープの画像を示す。

                                                                                                                                                                                                                                                           
図 7
 
図8

 パルス波形  50 Ω  1000 Ω
 立ち上がり時間 (10 % - 90 %)  5 ± 1.5 ns
 バースト期間(50 % - 50 %)  50 ± 15 ns  50 -15/+100 ns
 ピーク電圧  表2のVp ± 10 %  表2のVp ± 20 %
表 4

表4は5 kHzにおける単体のバーストの特性を要約したものであり、図7は概略図を示す。図8はPVF 50 (50 Ω)の抵抗をオシロスコープのチャンネルと接続した際の5 kHzにおけるバーストのパルス単体のオシロスコープの画像を示す。


図9 

 図10

EFT/バースト試験はcompact NX (図10)のバースト試験のメニューより実施することが可能である。規格のパラメータを画面より変更することが可能である。白色でハイライトされたパラメータはユーザで調整することが可能である(表5)。

 T (試験時間): 1 s から999 s (規格の最小は60 s、またはEUT動作の1サイクル)
 Level (電圧): Level 1 (500 V)
Level 2 (1000 V)
Level 3 (2000 V)
Level 4 (4000 V)
 Level (電圧): 5 kHz (td= 15 ms.)
100 kHz (td= 0.75 ms.)
 Coupling (“Cpl”): Common (L+N+PE)
All (L, N, PEの全ての組み合わせ)
50 Ω(容量性カップリングクランプのための同軸出力)
表5

ケース 1: 発生器の50 Ω出力の校正

弊社AMETEK CTSのCompact NXとNSG 3000Aの両方のコンパクトイミュニティ試験システムは50 Ωのバースト出力を持つ。実際には典型的にEFTバーストは50 Ωの抵抗負荷とは異なるEUTに印可されるため、バーストパルスの検証は50 Ωと1000 Ωの両方の抵抗負荷を使用して行われるべきである。50 Ω負荷へのバースト波形を検証するには、AMETEK CTSのPVF 50 (単品またはPVF BKIT 1のキットのパーツとして入手可能)の様な校正された50 Ω負荷を下記の様にセットアップすべきである。同様に、1000 Ω負荷へのバースト波形を検証するには、AMETEK CTSのPVF 1000 (同様に単品またはPVFBKIT 1のキットのパーツとして入手可能)の様な1000 Ω負荷を下記の様にセットアップすべきである。また、帯域幅が少なくとも400 MHzのオシロスコープが必要となる。

50 Ω負荷との検証:
    図 11

PVF 50
の比率は1:400である。この例では、2000 Vのバーストはオシロスコープ上で5 V
の表示となる。

1000 Ω負荷との検証:
   図 12

PVF 1000
の比率は1:1000である。この例では、2000 Vのバーストはオシロスコープ上
で2 Vの表示となる。

ケース2: 電源線用の内部CDNの出力の校正

• EFTトランジェントはCDNの全ての線に同時に結合される(コモンモード結合)。
• CDNの出力は短絡しない。
• EFTトランジェントは50 Ω負荷(PVF 50)を使用して各出力を測定する。この際他の
出力はオープンとする。PVF AD 1アダプタはPVF BKIT 1キットに含まれる。
• 各出力にてトランジェントは特定の許容値内である必要がある。


図13

PVF 50の比率は1:400である。この例では、4000 Vのバーストはオシロスコープ上で10 Vの表示となる。

ケース3: 容量性カップリングクランプの校正

規格の第3版はトランスデューサプレートを使用した容量性カップリングクランプの校正方法を記述している。以下のセットアップ中に、カップリングクランプ(CCI)と波形検証キット(CCI PVKIT 1)を示す。また、波形検証キットはトランスデューサプレート、MC-SHVコネクタアダプタ(PVF AD 3)、治具(支え)を含む。

トランスデューサプレートはカップリングクランプに挿入し、発生器と同軸50Ω 負荷の接続とは反対側で終端し、オシロスコープで測定する必要がある。以下は容量性カップリングクランプへのEFT波形を検証するセットアップを図示したものである。

図14
                                                                                                                                                      容量性カップリングクランプの校正セットアップの例

PVF 50
の比率は1:400である。こちらの例では、2000 Vのバーストはオシロスコープ上で5 Vの表示となる。

校正は発生器の出力電圧を2 kVに設定して行う。校正は以下の要求を満たす必要がある:

            立ち上がり時間 tr 5 ns ± 1.5 ns
            パルス時間 50 ns ± 15 ns
            電圧のピーク値 1 kV ± 200 V